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第398号 2009年2月12日
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「高瀬飴」江戸時代から受け継がれる伝統スイーツ
自然の甘みを生かした素朴な味わい
高瀬飴イメージ
甘い菓子がはんらんしている今も、「高瀬飴」の人気は根強い。他県からわざわざ買いに来るお客さんや、「自分の店に出したい」という業者からの熱い要望もあるという。
飴をのばすイメージ 飴のかたまりイメージ
辺りに甘い香りを振りまく、出来上がったばかりの「高瀬飴」。まるで“きねつきもち”のような、むっちりとした弾力性がある。 台の上に、何本もあめの生地を伸ばしていく職人の動きは、無駄がなく美しい。シンと冷える冬の作業場には、あめと向き合う職人の緊張感が漂う。
 玉名市に江戸末期から伝わる、「高瀬飴」は、熊本を代表する伝統菓子の一つ。砂糖を一切使わない自然の甘みと、やわらかな食感が持ち味の昔ながらのあめです。
 その歴史は古く、加藤清正公の時代に兵糧として考案されたといわれています。江戸時代には“高瀬(現・玉名市)”が水運の要衝(ようしょう)として栄え、菊池川流域で採れた上質な米が集まるようになりました。入手困難な砂糖に代えて、米を原料としたあめ作りを藩が奨励し、“高瀬”に数多くのあめ屋が生まれたのです。“養老の妙薬”と言われたあめを求める人々は後を絶たず、肥後の「高瀬飴」として広く知られるようになりました。その素朴な味わいは変わることなく、現在も3軒の老舗に受け継がれています。
 かつて「高瀬飴」の原料はもち米でしたが、戦時中から配給制となり手に入りにくくなったため、米と麦芽で作った麦芽水あめを使用するようになりました。琥珀(こはく)色をした水あめを注意深く煮詰めた後、一晩寝かせて中に入った気泡を落ち着かせます。翌朝固くなった水あめを焦がさないように弱火でゆっくりと温め、時間をかけて“引きあめ機”で練り上げていくのです。
 野田高瀬飴本舗・野田正孝さんは、「あめは、温度と湿度の影響ばもろに受ける食べ物だけん、煮る時間と練る時間は、そん時々で微妙に変えんといかん。冬は冷えるけん、生地に空気が含まれやすく、口当たり良くふわっと仕上がる。あめ作りには最適の季節たい」と語ります。気温や湿度が高いと軟らかくなりすぎ、形くずれの恐れがあるため、温度管理には最大の注意を払わなくてはなりません。シンプルな製法だけに、職人の勘一つで仕上がりが変わる。四季を通じて同じ口当たりに仕上げることさえ、熟練の技がなければ不可能なのです。
 「高瀬飴」には棒状の長あめ、円形の丸あめ、一口サイズの打切(うちきり)などがあり、ショウガ入りや黒糖あん入りなど種類も豊富で、口溶けの良い食感が世代を問わず好まれています。「玉名では、七五三の千歳飴(ちとせあめ)も“高瀬飴”。また、滋養に良く、昔から“母乳のよう出る”と出産祝いに喜ばれよります」と野田さん。また「この辺では煮魚に“高瀬飴”ば入れます。砂糖やみりんよりよか味に仕上がります。大学芋やかりんとうにもあめば使うとよかですよ」と、地元ならではの活用法も教えてくれました。
 食の安全・安心が問われる今、「高瀬飴」は健康食としても見直されています。甘さは砂糖に比べると約半分、その分カロリーも少なく血糖値を急激に上げないので、ダイエットや糖尿病の治療でも注目を集めているのです。体に良い伝統の肥後銘菓を、ぜひ一度味わってみませんか。
飴を切るイメージ 飴のパッケージイメージ
板状に細長く伸ばした「高瀬飴」を“日本刀”で上から押すようにして切る。代々受け継がれる貴重な道具の一つを手に、「これが一番使いよか」と野田さんは語る。 菊池川流域の“米どころ”から集まる米を全国へと送り出した“高瀬”は、玉名温泉にほど近い。ゆっくり温泉を楽しんだ観光客のお土産は、もちろん「高瀬飴」だ。

■取材協力先
野田飴老舗
玉名市繁根木255
TEL/FAX 0968−72−3042
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