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| 宮本さんは、一男一女の母。大学を卒業した長男は、頼もしい後継者。「息子は、夫と共にわたしを支えてくれる良き理解者であり、鋭い意見も言ってくれるアドバイザー」と語る。 |
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新製品は、デコポンの皮を砂糖で煮て作った“ピール”を、米粉パン生地に混ぜて焼いたパン「デコdeパン」。「桃の花見会」では、あっという間に200個が売り切れた。
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「春果風」のメンバー・片山さんは、三味線の師匠。その見事な演奏は、「桃の花見会」の目玉の一つ。多くの来場者がその音色に魅了され、大いに盛り上がった。 |
熊本市の隣にある植木町では、日本一の生産量を誇るスイカをはじめ、年間を通してさまざまな果樹栽培が盛んに行われています。同町で果樹栽培に取り組む女性11名が集まり、「女性ならではの感性を生かして、町おこしに貢献したい」という熱い思いで、平成18年(2006)春、任意団体「春果風(はるかぜ)」を結成。以来、地元産の農産物を活用したイベントや新商品開発などを行っています。

「植木町の農産物は新鮮で味がいい。どの農家も、真剣に『いいものを届けたい』という思いを込め、生産に全力を注いでいます」と、会長を務める宮本さんは語ります。心血を注いで育てるから、自信を持って売り込める。安全安心な食材を届けようとする農家の誠意が消費者の信頼を得られれば、生産販売数を伸ばせます。さらに、貴重な観光資源にもなると考えるメンバーは、「春果風」の活動を農家と消費者をつなぐ架け橋とするため、日々努力を続けてきました。
植木産のハウスミカンを材料に、地元企業と開発した「プレミアムチーズケーキ」は、「熊本県物産振興協会」の優良商品賞を受賞。今では空港、高速道路のサービスエリア、菓子店などで、毎月1,500個以上を売り上げる人気商品に成長を遂げました。「春果風」のイベントには欠かせない名物となり、今では「プレミアムチーズケーキ」を求めて県内外から多くのファンが集まります。

また、「消費者に農業や農産物、生産農家のことをもっと知ってもらいたい」と、町内の農業・商業関係者と力を合わせて「桃の花見会」をはじめ、「みかん収穫祭」、「すいか祭り」などさまざまなイベントを開催。さらに園児や小学生が楽しく地域の農業に触れ、歴史や文化などを学ぶ「実に見に学校」では、食育にも力を入れています。土に触れることが少ない若いお母さんや子どもたちに向けた収穫体験のほか、生産者自ら農家の取り組みを伝えるなど、充実した活動を展開。他県からの研修生も受け入れています。
今年5回目を迎えた「桃の花見会」には、約1,400人もの観客が来場。地元の農産物で作る加工品やオリジナル商品の販売、収穫体験など、コンセプトをしっかりと据えた企画が、確実に町おこしにつながっています。

毎日、重労働の農作業や家事・育児に追われるメンバーたち。しかし、積極的に時間を見つけては食品加工の研修を受け、製品開発の研究会を独自に開いてアイデアを出し合います。さらに、イベント開催が決まると約2カ月前から準備に取り掛かり、会場の設置、来場者のおもてなし、後片付けまで、息を付く暇もありません。「それでもみんなが頑張れるのは、家族の理解とサポートがあるから。力仕事は、夫たちが進んでやってくれますし、子どもたちもスタッフになって手伝います。植木町は、農家の後継ぎも多い恵まれた地域ですよ」。家族が一丸となり前向きに農業に取り組む気風が、家族や仲間との強い“絆”をはぐくみ、そしてお互いを思いやり、支え合う心が活動の源となっていると、宮本さんは誇らしげにほほ笑みます。

現在、「プレミアムチーズケーキ」に続く新たなスイーツを開発。植木産デコポンの皮を使用した「デコdeパン」や「デコdeリング」が誕生しました。「もっといいものを作って、植木に多くの人を集めたい。そして、消費者と交流を深めるイベントを増やし、教育機関と協力して体験プログラムを作成するなど活動の場を広げたい」と将来の夢を語る「春果風」のメンバーたち。その眼差しは、まるで春の陽だまりのような明るいあたたかさに満ちています。