わたしのふるさと熊本県には美しい自然があり、海の幸と山の幸に恵まれた豊かな食文化がはぐくまれてきました。雄大な阿蘇の山々からの清らかなわき水が大地を潤してくれることで、おいしい食材の恩恵にあずかることができるのです。清流にはアユやヤマメなどの川魚が泳ぎ、わき水がわき出る江津湖には水前寺ノリが自生しています。また海へと続く肥沃な三角州には、アサリ、ハマグリ、シャコのほか、多種多彩な魚介類が生息し、古くから人々の食生活を支えてきました。熊本の食文化は、まさに「水の文化」といえるでしょう。
わたしは、料理人として全国の食材を見てきましたが、熊本の食材の豊かさは日本のトップクラスだと思っています。四季折々の食材でメニューを考えるときには、お客さまが五感で味わう楽しみを大切にしています。青(緑)、赤、白、黒、黄の五色の素材を盛り合わせることで、栄養バランスが良くなるほか、目にも鮮やかな一品に仕上げることができます。和食の思想には、“陰陽五行説”など中国から伝えられたさまざまな思想があります。それを踏まえて体にやさしい、どなたにも喜ばれるメニューづくりを心掛けていきたいですね。
今月から、熊本の旬の食材を使ったご飯のおかずにも酒のつまみにも合う、家庭でできるレシピをご紹介します。「蒸し鶏の玉葱ドレッシング」は、熊本のオリジナルブランド地鶏の天草大王(あまくさだいおう)のムネ肉を塩コショウして蒸したヘルシーな一品です。水俣・芦北特産の「サラダたまねぎ」の食感と甘味をたっぷり引き出した手づくりのドレッシングは、牛肉のステーキや焼き魚、生野菜など何にでも合うソースですから、作り置きしておくと便利です。彩りの付け合わせは、八代産トマトの「はちべえ」、阿蘇でとれた新鮮なベビーリーフです。ぜひ、お試しください。
たまねぎに含まれる栄養や風味をドレッシングに凝縮させるため、切った後に水にさらさないのがポイント。また混ぜる際には、空気によくふれるようにすることで、オイルとたまねぎがよくなじみます。