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第358号 2008年5月8日
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「職人として自分の世界を確立し、未来へと技術を伝えていきたいですね」。
絹糸のように細くきらめく繊維の束「楮(こうぞ)」。繊維が強く和紙に向いた植物。 草木染めで仕上げた美しい和紙。奥から「タケノコの皮」「イグサ」「楮」「竹」。楮は茜(あかね)染めでやさしい薄紅色に。
 水俣市の紙すき職人・金刺潤平さんは、植物繊維の特長を生かしたさまざまな和紙を創作し、平成19年、経済産業省が選定する「第2回ものづくり日本大賞」で優秀賞を受賞しました。県の特産品であるイグサの髄(ずい)の特性に着目し、大気中の水分や化学物質を吸収・吸着できる高性能な壁紙を開発したことが、高く評価されたのです。「公害を経験した水俣の自然素材を生かす技術を評価されたことが何よりもうれしい」と話す金刺さんは、紙すき体験教室などを通じて人々と触れ合い、水俣の元気を支えています。

 金刺さんは、1984年から『水俣浮浪雲(はぐれぐも)工房』を主宰。植物繊維の細胞が持つミクロの世界に魅せられて、さまざまな植物を紙すきに取り入れてきました。イグサの壁紙は、ある小学校の改築を前に保護者から「体にやさしい壁紙はないだろうか」という相談を受けて開発に取り組んだのがきっかけです。「わたしたちは、石油で作られたものに囲まれて生活していると思いませんか。例えばコピー用紙にも約100種類の添加物が入っていることからも、現代の物づくりには、環境を守るという基本的な考えが欠如しているものもあるということです。紙を例に挙げても、環境を破壊し地球に一番害を与えてきたのは人間です。和紙には1,400年の歴史があります。その伝統を受け継ぐことができたのは、環境破壊をせず、資源を確保してきた日本人の賢さがあります。日本人の原則は自然に対する『感謝』にあるんですね。忘れてはならないと思いますよ」。
 水俣は長い年月、大きな“負の遺産”とともに歩いてきました。15年前に安全宣言を受けた今でも「水俣の魚を食べても大丈夫なのか」と尋ねられたり、修学旅行先で心無い言葉を浴びせられたりというのが現実です。「水俣以外の人の意識を変えないと何も変わらない」という金刺さんの言葉通り、公害を経験した水俣から、自然素材を生かした作品を世界へと発信する活動は、根強く残る水俣のイメージを一掃する大きな力となっています。
 これからは、陸上の植物と同じように海藻にも目を向けて、新しい素材の開発を目指すという金刺さん。「海の植物には人体に有効な成分がたくさん含まれています。陸上の植物より繊維が細かく、面白い様相をしています。何かつくることができないかと試行錯誤しているところです」。また、この秋には、ウズベキスタンで、古代紙の復元や紙すきの技術の伝承に携わることが決まりました。「8世紀に使われていたサマルカンドペーパーという紙の復元を通して、町おこしの手伝いができればいいですね。水俣は汚染を受けた被害者や被害地としての責任があると思います。広島や長崎と同じように水俣から全世界にこの思いを発信することで、“負の遺産”が人類にとって価値のある歴史に変わるんです」。その言葉には、「環境都市・水俣」の願いが込められています。
軒先に揺れるランプシェード。乾燥させさまざまな色に染め上げていく。草木染めの柔らかな光が人気を集めている。 竹の紙料を水に溶かして、少しずつすいていく。繊維たっぷりでフェルトのような質感だ。

「第4回 棚田のあかり」
棚田の最も美しい季節、5月。「日本の棚田百選」に選ばれた水俣市の寒川地区で、今年4回目を迎える「棚田のあかり」が行われます。稲ワラに自然素材の燃料を染み込ませた約2,000本の竹のたいまつが、水を張った数100枚の田んぼの畦(あぜ)に並びます。水面に映る山影も消えるころには、炎だけが揺らめく幻想的な風景に。水俣の新たな風物詩です。

「第4回 棚田のあかり」

  5月17日(土)(18:00ごろ〜)

  会場/寒川棚田(水俣市)

 
お問い合わせ先/ 愛林館 TEL 0966−69−0485
http://www7.ocn.ne.jp/~airinkan/


プロフィール 金刺潤平

静岡県沼津市生まれ。1983年、上智大学理工学部卒業と同時に「JYVA一年間派遣ボランティア」として水俣へ。84年「水俣浮浪雲工房」主宰となり、胎児性水俣病患者らと運営する。93年、イグサの製紙原料化に成功し特許取得。その後、インドネシア、バリ島、ドイツ、ブラジル、アマゾンなど世界各国でワークショップを開催。2001年「JICA技術専門家」としてアマゾンに派遣。02年には無廃棄物イグサパルプの開発で特許を取得し、07年には「第2回ものづくり日本大賞」で優秀賞を受賞。
【連絡先】 熊本県水俣市袋42 TEL/FAX 0966−63−4140
〒862−8570 熊本県熊本市水前寺6丁目18番1号 熊本県広報課
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