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第380号 2008年10月9日
かつては、お母さんたちが手軽に作る家庭のおやつだったいきなり団子。あずきあん、白あんのほか、ムラサキイモのあんやクリを入れたものなど、店によってバリエーションも豊富になった。
家業のお客さんを、奥さん手作りのいきなり団子でおもてなししていたところ大好評で、いきなり団子屋を始めたという古庄さん。甘過ぎないあんがカライモの風味を引き立てる。
美しい赤紫色をした「高系14号」。大津町特産のカライモは品種が統一されている。柔らかく糖度が高いのが特徴。古庄さんのいきなり団子には、LLサイズを使う。
「カライモ」とは熊本や鹿児島の方言で、サツマイモのことです。熊本名物の一つ「いきなり団子」は、そのカライモとあんを皮で包んで蒸した郷土菓子。生のカライモを“いきなり”皮で包んで作ることから、その名前が付いたともいわれています。今年もサツマイモの収穫期を迎え、新イモを使ったいきなり団子が味わえます。
カライモの産地・菊池(きくち)郡大津町出身の古庄孝さんは、夫婦力を合わせて、すべて手作りのいきなり団子屋を営んでいます。湯気が立ち上るセイロを開けると、あずきあんと白あんが美しく透き通って見えるいきなり団子。二つに割ってみると、黄金色の柔らかなカライモが顔を出しました。「いきなり団子はイモが命。ホクホクした大津のイモのおいしさば味わってほしかねぇ」と語りながら、手際よくカライモとあんを皮で包んでいきます。いきなり団子作りは、毎週約200キログラムものイモを貯蔵庫から運んで、一つ一つ洗うことから始まる大変な重労働です。「掘りたてもうまかばってん、1カ月ほど熟成させると、もっと甘みが出ておいしかイモになる。寒い時季が一番、いきなり団子もうまかたい」。
黄金色に輝くカライモは「高系(こうけい)14号」という品種で、大津町ブランド「ほりだしくん」として販売されています。大津町をはじめ、地域のカライモ生産を統括する「JA菊池」の年間収穫量は約2,200トン、栽培面積は約110ヘクタールにも及びます。
阿蘇外輪のすそ野に位置する大津町は、火山灰性の土壌で水はけが良く、カライモの生産に適していました。しかし、豊肥線が開通する前は、輸送に大変苦労したといいます。熊本へ運んでも、買い手がつかず腐らせてしまうこともあり、家畜の飼料にされていたそうです。
現在、いきなり団子は、東京にある銀座熊本館でも、多くの人々に熊本の味として人気を集めています。古庄さんは毎朝6時前からいきなり団子を作り始め、1日に500個ほど生産。全国からの注文も相次ぎ、配送に大忙しです。「大津のうまかイモば使って、熊本の顔として恥じないものば作っていかにゃんと思います」。
いきなり団子は、熊本のおふくろの味。ホクホクしたカライモのおいしさをぜひ味わってみてください。
セイロから立ち上がる湯気もいいにおい。小麦粉と上新粉で作る皮はもっちりとして、素朴な味。イモのうまさを味わってほしいと、カライモを厚切りにしてつくる古庄さんの心意気が現れている。
県内一帯で栽培されているカライモ。5〜6月に苗を植え付け、9〜10月に収穫期を迎える。戦後の食糧不足を救ったカライモは、今では食物繊維が豊富なヘルシー食品として大人気。
【取材協力先】
いきなり団子(だんご)のかんしょや
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