熊本県発行のメールマガジン:とっておきの情報満載!
第391号 2008年12月25日
お屠蘇の文化は中国から渡来し、平安時代には宮中儀式だったものが、江戸時代に一般に広まった。「屠蘇袋」の中身は、ケイヒ・サンショウなど漢方で用いられる生薬が数種ブレンドされている。
県内では昔から調味料として使われていた「赤酒」。煮物に入れたり、焼き物の表面にはけでひと塗りするのもお薦めだ。アクの強い野菜などを煮るときに使うと、色よく美しく仕上がる。
日本酒の造り酒屋などの軒先につるされる「酒林(さかばやし)」。丸い杉玉が新葉に交換されると、「新酒ができました」という印。やがて茶色に枯れていく杉玉から、熟成の具合を推し量るという。
熊本に古くから伝わる地酒「赤酒」は、木灰(きばい)を用いて仕込む伝統の製法を守り続けている、全国でも珍しい酒です。一般の清酒に比べて甘みが強く、とろりとした飲み口が特長で、正月のお屠蘇(とそ)や祝いの席で酌み交わすお神酒(みき)など、暮らしに欠かせない酒として親しまれています。
「赤酒」は、千年以上も前の古い文献にも記載されており、日本古来の酒であると考えられています。熊本では、加藤清正公が熊本城を築城するころには、すでに庶民の酒として楽しまれていたようです。
かつて「赤酒」は、木灰を使って作ることから「灰持酒(あくもちざけ)」とも呼ばれていました。木灰は酒の酸化を防ぎ、長期保存を可能とするため、高温多湿の熊本で重用されていたのでしょう。さらに、肥後熊本藩・細川氏の時代には、藩が保護する「お国酒」に制定され、たびたび幕府への献上品として納められ、歴代の将軍も愛飲していたといわれています。当時、藩内では清酒の醸造や他藩の酒を持ち込むことが禁じられたため、熊本で酒といえば「赤酒」。しかし明治維新以降、清酒が流通するようになり、第二次世界大戦などによる影響も重なると、「赤酒」は一時姿を消してしまったのです。
終戦後、「赤酒」が雑酒として復活した背景には、「赤酒がないといかん」という人々の熱い思いがありました。正月に、祝い事に、めでたい赤の彩りを添える地酒は、調味料としても日々の暮らしに根付いていたからです。
「赤酒は隠し技を持っていて、料理に使うと“特別な力”を発揮するんですよ」と、語るのは瑞鷹株式会社の吉村さん。「世界でも珍しいアルカリ性の酒で、調味料として使うと肉や魚のタンパク質を壊さないので、身が硬くなりません。しばしば“みりん”と間違われますが、“赤酒”は発酵して作るので、製造法も違うんです。赤酒を使うと料理が色つやよく、ふっくらと仕上がりますよ」。
“料理酒”と“みりん”の二役を果たす万能な「赤酒」に目を付けたある料理人が東京の調理師会に紹介すると、たちまち同会の推奨を獲得。料理のジャンルを問わない「赤酒」は、築地・銀座・赤坂の名だたる店の調味料として認められ、全国に需要が広まりました。照り焼きや煮物に上品な甘さを添え、冷めた料理にも美しい照りをそのまま残す赤酒は、今やプロの料理人が「手放せない」と称賛する調味料として重宝されています。
現在製造されている「赤酒」は、飲料用と料理用の2種類。今が旬の寒ブリの照り焼きのたれや、豚の角煮、がめ煮などの煮込み料理のコクとうまみを引き出すのにぴったりの調味料です。2009年の年明けは、「赤酒」をお屠蘇やおせち料理などに使って、熊本流の正月を楽しんでみませんか。
初夏に「赤酒」の仕込みが始まる。発酵させた後は半年の間、熟成のために休ませる。「木灰」を酒に加えるタイミングや量は、その年の出来具合や気候などによって臨機応変に調節する。
約18リットル入る大きなかめは、「赤酒」の輸送用に使用されていた。赤酒に関する貴重な資料は、川尻町にある「東肥大正蔵」で見学することができる。
■取材協力先
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熊本市川尻4丁目6−67
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