
野口さんは記念事業開催の傍らで、宇土市民による“市民マニフェスト”を有志でまとめているという。「自分たちが望む社会の姿を市民から明確に発信することで、生活の向上を図りたいですね」。
「実際に役立つ学問こそ、最も大事」という小楠の教えを今に伝える「熊本横井小楠塾」では、講演会やイベントを通じてさまざまな分野の“実学”を学ぶことができる。
「横井小楠生誕200年記念事業」の開催には多くの人々の協力が必要。忙しい中、集まっては会議を開くなど、誰もがボランティアで活動を支えている。
熊本が生んだ幕末の思想家・横井小楠(1809~1869)は、今年、生誕200年の節目を迎えます。多くの民を救い、より良い政治を実現しようと、「経国救民(けいこくさいみん)」を唱え、実際の暮らしに役立つ“肥後実学”を提唱するなど、尊王攘夷(そんのうじょうい)派の刺客(しかく)に倒れるまで走り続けた熊本を代表する政治家の一人です。県内各地では、「横井小楠生誕200年記念事業」と題し、さまざまなイベントが開催、小楠の思想を受け継いでいこうという活動が行われています。
「記念事業を通じて、“世界”や“人”とのつながりを大事にした小楠の思いを伝えたい」と語るのは、横井小楠の思想を学ぶ「熊本横井小楠塾」事務局長・野口修一さん。同塾は「横井小楠生誕200年記念事業」でシンポジウムの企画・コーディネートから申し込み・受け付け、当日の運営まで、ボランティアで取り組んでいます。
さまざまな顕彰事業を行う際に一番苦労するのが、熊本県人がいかに小楠を知らないかということだと、語る野口さん。「維新の偉人たち・吉田松陰や高杉晋作も小楠に会いに訪れ、坂本竜馬や勝海舟とも交流がありました。世界を見据えた小楠の指針に対して、熊本の小さな世界しか見えない地元の武士たちはそれを理解することができなかった。それゆえに、熊本では横井小楠という人物の評価が低いのです」。
そのため、野口さんは歴史文化をテーマにした町おこし「吉田松陰没後150年記念事業」に取り組む萩市を訪れるなど、地域全体で取り組む活動展開への視察に余念がありません。
また、小楠が唱えた「実学」をライフワークとする野口さんは、「熊本横井小楠塾」で行う講演会などを通して小楠の思いを人々に伝える一方で、地元宇土市の都市計画に参加して、バリアフリーを施設や歩道に取り入れるため、働き掛けました。「住みやすい環境とより良い暮らしをつくるには、政治家だけが動くのではなく、市民の視点を生かすために市民が参加していくことが大切。それが、まさに“現代の実学”なんですよ」。
ボランティアを続ける野口さんの原動力は、「人との出会い」。一つの出会いを大切にし、何かを学び取ろうという真摯(しんし)な姿勢を持ち続ける野口さんの熱い思いの根底には「小楠のように大きな視野で世界を捉え、人々が安全で豊かに暮らせるように役立ちたい」という無償の“世話役”魂が息づいています。
「横井小楠生誕200年記念事業」
横井小楠生誕200年を迎える今、「熊本横井小楠塾」が主催するイベントへ参加してみませんか。小楠著「国是三論(こくていさんろん)」を翻訳したイタリア・中国の研究者を迎えた「国際シンポジウム」や詩人・作家をパネリストに迎えたシンポジウム「肥後の猛婦」、新町(第一高校)から沼山津(四時軒)までを歩く「歴史ウオークラリー」など多彩な催しが盛りだくさんです。
「第2回 『肥後の猛婦』シンポジウム」
日時 10月2日(金)13:00〜
場所 鶴屋百貨店東館10F
「楽しく歩こう!歴史ウオークラリー」
期日 10月12日(祝)9:00集合
*上記2件、別途申し込みが必要です
「国際シンポジウム」
日時 11月21日(土)13:00〜
場所 熊本市民会館大ホール ※当日参加可
■横井小楠生誕200年記念事業実行委員会 事務局
熊本市尾ノ上1-48-6 リブズ菊池1F 環境共生施設研究所内
TEL 096-381-0283
FAX 096-381-0384
携帯 090-3666-7682(野口)
野口修一
建築家。昭和33年(1958)生まれ。宇土市出身在住。平成3年(1991)に「くまもと地球市民塾」を受講し、東海大学名誉教授・高宗昭敏氏より横井小楠の思想を本格的に学ぶ。平成14年(2002)高宗氏が塾長を務める「熊本横井小楠塾」の事務局長に就任。今年「横井小楠生誕200年記念事業」の事務局長を担い、現在に至る。
【連絡先】
「熊本横井小楠塾」事務局長 野口修一
熊本市尾ノ上1-48-6 リブズ菊池1F 環境共生施設研究所内
TEL 096-381-0283
FAX 096-381-0384