
― 文字情報版 ―

阿蘇の草原
日本一の広さを誇る阿蘇の草原。
この美しい風景は、千年もの昔から人々の営みによって維持されてきました。
「くまもとサプライズ!」
今回は、阿蘇の草原の魅力に迫ります。
世界最大級のカルデラ火山、阿蘇。
雄大で美しい風景は古くから人々を魅了してきました。
中でも草原は日本一の面積を誇り、その壮大なスケールは、訪れる者を圧倒します。
阿蘇の草原の歴史は古く、平安時代の文献にも登場します。
千年以上続く、阿蘇の草原。
一体、どのようにして受け継がれてきたのでしょうか?

日本一の面積を誇る阿蘇の草原

畜産農家・井信行さんとあか牛
草原で草を食むあか牛。
阿蘇を象徴する光景の一つです。
阿蘇の農家は、牛の放牧や、牧草の刈り取りをしながら営みを続けてきました。
(質問:なぜ、草原は維持されてきた?)
■畜産農家・井信行さんコメント
「私はあか牛がいたから草原が維持されてきたと思います」
「私たちは阿蘇のあか牛が食べる草原の草で堆肥を作り、それを田んぼや畑に還元しています」
「そういう循環が村の暮らしだったのです」
人々のさまざまな営みの中で続いてきた阿蘇の草原。
中でも草原維持のための重要な役割を担っているのが、毎年3月に行われる野焼きです。
冬枯れの原野に火が放たれると、炎が勢いよく燃え広がります。
野焼きは害虫を駆除するとともに、植物の芽立ちを助け、阿蘇の大地に新しい息吹を与えます。
山肌が春の日差しを浴びて緑に染まるころ、阿蘇の花々が草原を彩ります。
阿蘇の草原では多彩な植物や生き物たちが育まれ、貴重な生態系が守られているのです。

野焼きの様子

野焼き支援ボランティアの活動風景
この草原を守る取り組みを始めたのが、阿蘇グリーンストックです。
1995年から野焼きを支援するボランティア活動を続けており、昨年度は、県内外から延べ2千人にものぼるボランティアの参加がありました。
人手不足や高齢者が多い地域にボランティアを派遣し、野焼きや防火帯づくりを支援しています。
(質問:草原を保全することの重要性について)
■阿蘇グリーンストック専務理事・山内康二さんコメント
「阿蘇の草原は千年以上の歴史があるため、文化的価値や歴史的価値は大切だと思います」
「世界的に見ても例がない草原です」
「草原は森林と同じくらいの水源かん養機能を持つことが最近分かってきました」
「そういう意味で阿蘇の草原は九州の水がめのような存在です」
「野焼きをすることで地球温暖化の元凶といわれる二酸化炭素の地中固定化に非常に貢献していることが最近分かってきました」
「ボランティアの合言葉は『阿蘇への恩返し』といわれています」
ここは草原の丘に建つ、葉祥明阿蘇高原絵本美術館。
熊本出身の絵本作家・葉祥明さんの作品とともに、「絵本の小道」と名付けられた草原の散歩コースが楽しめます。
散歩コースから見る風景は、葉さんの作品そのままの、絵本の世界が広がります。
草原に美術館を建てた意味。
その思いを館長の葉山さんはこう語ります。
(質問:なぜ、草原の丘に美術館を?)
■葉祥明阿蘇高原絵本美術館館長・葉山祥鼎さんコメント
「この美術館は絵を見せるとか、詩を読んでもらうものではなくて、
阿蘇の草原や自然に『自分たちに何ができるか』
『どういうふうに感じるか』を考えさせる美術館だと思っています」
「今は人間が横暴になって自然との調和がとれない時代だと思います」
「草原を保全することによって命のサイクルを感じ取れれば、
もっともっと自然に対する畏敬の念を持つことを草原は教えてくれると思います」
千年の時を経て、人々の手によって守られてきた阿蘇の草原。
美しい命の輝きと、未来へのメッセージがここにあります。
※今回紹介したスポットの地図はコチラ
※「阿蘇グリーンストック」のホームページ
http://www.aso.ne.jp/~green-s/
※「葉祥明阿蘇高原絵本美術館」のお問い合わせ先
電話0967-67-2719・葉祥明阿蘇高原絵本美術館
http://www.yohshomei.com/museum_aso.html

草原の散歩コース