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I LOVE くまもと vol.24 心地よい風が吹く湯の鶴を若い人たちが集う場にしたい

くまもとには、さまざまな思いを抱いて県外から移り住んできた人がいます。
「I LOVE♡ くまもと」は、移住者が感じる“くまもと”を、日々の暮らしを通して語ってもらうシリーズ。
今回は、山あいに佇むレトロな温泉街「湯の鶴温泉」におととしオープンしたカフェで働く、鹿児島県出身の加治屋佑美さんをご紹介します。


“不思議なところ”湯の鶴で新しいカフェをオープン

私は鹿児島市の中心部で育ちましたが、田舎にある祖父母の家によく遊びに行っていたせいか、自然が大好きです。大学卒業後は長野県の山小屋に住み込みで働いたり、オーストラリアでファームステイ(※)をしたりしていました。オーストラリアでの経験から「農業って面白い!」と思った私は、知人を通して水俣の農家の方を紹介してもらいました。これが私と水俣との出会いです。

最初の滞在は2週間ほどで、特産品である甘夏の収穫を手伝いました。その間に地域おこしの施設や団体へ連れて行ってもらい、特に水俣の若者たちが自主的に集まってマルシェ(市場)などを開催している「あばぁこんね」というグループの活動が面白くて、その後も月2~3回のペースで、ボランティアとして田植えなどに通うようになりました。この田植えの後、汗を流しに訪れたのが「湯の鶴温泉」です。

※農場に滞在し、農作業の手伝いをしながらホームステイすること

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築90年の古民家を改装したカフェ「諸国屋本舗」

湯の鶴の街並みを初めて見た時の感想は、「不思議なところだなあ」。まるで川の上に家が建っているような風景はどこか懐かしく、すんなりと自分がなじんでいくような気がしたのを覚えています。そうやって1年間ほど通っていたある日、水俣のある方から「湯の鶴にカフェを開こうと思うんだけど、スタッフとして働いてみないか」と誘われたのです。後にオーナーとなる方ともお話をして、湯の鶴に対する熱い思いと“夢”に心を揺り動かされた私は、「ここだったら働ける。働きたい!」と、そのお誘いを受けることにしました。

2012年6月に鹿児島から湯の鶴へと引っ越し、開店準備に携わりました。お店のスタッフは女性ばかり3人。私をはじめ、仕事で料理を作っていた経験がある者はいなかったため、水俣市のフレンチレストランのシェフに一から指導してもらいました。だから“カフェ”といってもここの料理は本格派。スープもブイヨン(だし)から手作りしています。そうやって、その年の9月、「諸国屋本舗(しょこくやほんぽ)」をオープンさせました。

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「諸国屋本舗」の名は昔「湯の鶴温泉」にあった旅館「諸国屋」に由来。カフェには旅館で使われていた棚が置いてある

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カフェには若いお客さまもよく訪れる

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定番メニューのカレーは玉ネギをたっぷり煮込んだルーに、旬の野菜をトッピングした体に優しい一品。玉ネギは春から夏にかけて、水俣特産のサラダ玉ネギを使用

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穏やかな雰囲気の店内にいると常時、川のせせらぎが聞こえる


若い人たちが来たい、住みたいと思える場所をつくっていきたい

今はこのお店の責任者として、接客から調理、食材の仕入れまで行っています。水俣は食材が豊富なところですから、できるだけ地元の農産物を使うようにしています。直接取り引きしている農家さんが数軒あり、そこに電話をかけて「今、何が採れていますか?」と尋ね、それからメニューを考えることもしばしば。そして、お店で使うお米は「諸国屋本舗」専用の田んぼで育てています。スタッフ自ら田植え・稲刈りをした低農薬米です。お米も野菜も、お客さまには安全安心なものを召し上がっていただきたいので、できるだけ生産者の顔が見える食材を使うよう心掛けています。

それから、湯の鶴は水がおいしい!お客さまからよく「コーヒーがおいしいね」と声を掛けられるのですが、それはたぶん、水が良いからだと私は思っています。山から湧き出る清らかな水は温泉街の真ん中を川となって流れ、常にせせらぎの音を響かせてくれます。夏は川から吹く風が心地よいので、お店にクーラーは付けていません。窓を開け放って、お客さまには川のせせらぎと風を感じてもらえるようにしています。

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“山の温泉”「湯の鶴温泉」は“美人の湯”の別名を持ち、湯質の良さは折り紙つき

ここで暮らし始めて1年9カ月。近所の皆さんからはとてもかわいがってもらっています。実は、温泉は住み始めた当初から顔パス。料金を払おうとしても「よかよ、よかよ。入んなっせ!」と受け取ってもらえず、しかも帰りに野菜やコロッケなどを持たせてもらう具合で、皆さんの心の温かさに癒やされる毎日です。癒やされるといえば、「湯の鶴温泉」は日本一の温泉だと、私は思っています。泉質が柔らかくて肌に優しい感じがして、昔、湯治場として栄えていたのも納得できます。

今はカフェとしてのみ営業しているこの店には、いずれは簡易な宿泊施設や雑貨店などを併設したいと考えています。私のように、水俣に関心を持つ若者が集えるような場所にしたいのです。年配の方の姿が目立つ湯の鶴ですが、最近ではこの店や物産館「鶴の屋」などを訪ねてやって来る若い人たちの姿も見掛けるようになってきました。「鶴の屋」のレストランのシェフも私と同年代。ほかにも水俣で頑張っている若者がいます。その人たちと力を合わせて、若い人が来たい、住みたいと思える、水俣・湯の鶴にしていきたいと思っています。

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この一角は近々ギャラリーにし、水俣在住の若手作家の作品を展示する予定だという

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カフェの川向かいにはレストラン・物産館「鶴の屋」がある
>>「鶴の屋」


移住・定住のコツ 「いつも笑顔」

田舎は地域の結び付きが強いので、いただいたらお返しをするなどご近所とのお付き合いは大切にしています。その時は必ず笑顔で!いつも笑っていれば大抵のことはなんとかなると、楽観的に構えています。

水俣市ってこんなところ

青い海と緑の山々が織りなす美しい景観やおいしい水、食べ物、良質な温泉などに恵まれた、熊本県最南端の市です。
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エコパーク水俣・親水護岸