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第341号
2008年1月10日
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連載記事 「くまもと四季の風物詩」
 四季折々に、季節感や情緒あふれる郷土の祭りやイベントが、熊本県内各地で行われています。その由来をひもときながら、地域に伝わる歴史や人々の思いを盛り込んだ風物詩を連載でご紹介します。
 今月は、玉名(たまな)郡長洲(ながす)町で、800年余りの歴史をもつ四王子(しおうじ)神社の「破魔弓祭」(はまゆみさい)の中で繰り広げられる勇壮な裸祭り(県指定無形民俗文化財)「的ばかい」と、金魚の日本三大産地の一つとして、金魚をモチーフにした町おこしを取り上げます。歴史や伝統に根差した文化の継承と、新しい文化の創造を目指して街づくりや観光振興に積極的な長洲町をご紹介します。(1月10日、1月24日の2回シリーズ)

800年余り、途切れることなく続けられてきた「的ばかい」

■神事にのっとって行う由緒ある祭り
勇壮な男の裸祭り「的ばかい」
 神様を乗せたという円座(えんざ)をかたどって作られた「的」を、締め込み一つの男たちが神社境内や路上でばかい、最後は有明海まで運んで豊漁を祈願します。西日本三大裸祭りの一つ、玉名郡長洲町の四王子神社で行われる「的ばかい」です。「ばかい」とは、この地方の方言で「奪い合う」という意味です。社帳旧記によると、800年余りの歴史を持つ、勇壮な男の祭りです。永暦元年(1160)、長洲町と荒尾(あらお)市との境を流れる浦川の河口にあたる洲崎の浜「浜の岩屋」(現「金魚と鯉の郷」入口)に、御祭神が来現して小さな祠を作られました。その後、いったん祠が移された場所は現在の大明神「洲崎神社」(だいみょうじんすざきじんじゃ)となっています。この地は海に近く、当時はお参りにも不便だったため、現在の社地である安全な所に神様を移すことになり、神様を円座に乗せて、遷宮(せんぐう)しました。無事遷宮を済ませたあと、神様を乗せていた円座は不要となります。その際、氏子たちがあらゆる災難から逃れ、多くの御利益を得ようと、ご神体を安置した円座を奪い合ったことが「的ばかい」の起こりです。
 現在、奪い合う「的」は、もち米のわらと麻で編みこんだ直径60センチメートル、重さ6キログラムの円座です。2時間かけてわらを柔らかくたたき、その後4人がかりで7時間かけて「的」を編んでいきます。古来、的づくりの核となる「的芯」は長洲町上磯区在の四王子神社の氏子である「吉川家」の男子により門外不出で継承されてきました。しかし男子に恵まれず高齢化により継承が途絶える事を危惧した「吉川家」の申し出により、保存会で受け継がれています。


■的をばかい勇壮な男の祭り

四王子神社に向けて奉納行列が出発
「長洲破魔弓太鼓」の披露
的の払い下げで「的ばかい」の開始
的の切り分け作業の様子
「的」を切り分け、各戸に配られるお守り
 祭りは毎年1月の第3日曜日に行われます。まず10時に大明神「洲崎神社」にて神事が行われた後、神輿行列が出発し、「四王子神社」に到着すると再び神事が行われます。四王子神社の御祭神は武勇の神様、日本武尊(やまとたけるのみこと)で、特に弓矢に秀でた神様であったことから、紙的を弓矢で射って1年間の吉凶を占う「三射の儀」があります。このことから、祭りの総称は「破魔弓祭」と呼ばれます。この神事を終えると、「長洲破魔弓太鼓」の奉納行事があり、午後1時に「的」が「ばかい手」へと投与され「的ばかい」が始まります。
 四王子神社は漁師の町にあり、以前の「的ばかい」の中心となった氏子は主に漁師でした。冬の寒い日に行われるにもかかわらず、締め込み一つの男たちが、的を得るために体をぶつけて奪い合っている塊の中心付近は40℃を越える暑さです。「力水」を掛けますが、この水がないと皮膚と皮膚が擦れ合ってやけどをしたり擦り傷になったりします。境内、参道、海岸まで続く道を、的を奪い合いながら進みます。有明海で豊漁を祈願した後、「的」は神社に持ち帰り、町内会の数に切り分けて、氏子の各家庭に「御守」として配られます。これは「火難息災」「家内安全」のお守りとされます。
 800年余りの歴史の中で、800年近くは四王子神社の座元、磯町と宝町の住民で行われてきた祭りです。氏子でないものが参加するとけがをすると言い伝えられていました。しかし、昭和17年〜18年ごろには、戦争のために若者が少なくなり、長洲小学校校区の住民で行うようになり、今に至っています。


■守り抜く、地域の誇り

大事に受け継いできた祭り「的ばかい」
 「的ばかい」は、村の祭りとして継承され、明治天皇がご崩御された時も第2次世界大戦の終戦を迎えた時も続けられてきました。四王子神社を中心とした住民が子々孫々受け継ぎ大事にしてきた祭りなので、途絶えさせることなどできません。
 昭和50年代に、人が少なくなったことや「裸で人前に出るのは恥ずかしい」と若者の考え方の変化で存亡の危機に陥ったことがあります。しかしこの時、自発的に保存会が発足し、守り続けることの大切さを若者に伝えました。また、継承していくために守らなければならないことと緩和していくところを検討することにしました。神事としてやることは規律を守ってやっていきますが、多くの人が参加できるように日程の調整や、住民に限らずこの祭りの趣旨を理解していただける方には参加してもらう、的作りを町内会でもできるようするなど、時代の変化とともに変えたところもあります。そこで昭和50年代からは、小中学校の先生方、長洲町に誘致した企業の社員の方や、この祭りに魅せられて東京や四国から参加する方など、およそ4分の1の町以外からの方と一緒に行っています。
 「的ばかい」に参加する人の中には、長い人では50年くらい続けている人がいます。続けるということは素晴らしいことです。これからも地域の大切な伝統文化を守り続けるとともに、1年の最初にある祭りですので、参加する人も見に来る人も、1年間無病息災であれたらと願っています。



◆破魔弓祭「的ばかい」に関するお問い合わせ先◆
 四王子神社
 TEL 0968−78−0426
 FAX 0968−78−3815
 ホームページ http://www.h6.dion.ne.jp/~shiouji/sub3.html

 長洲町役場 産業振興課
 TEL 0968−78−3111(内線261)
 FAX 0968−78−1092
 ホームページ http://www.town.nagasu.kumamoto.jp/
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