●今回は、海に面した上天草市にある熊本県水産研究センターの堤泰博所長にお話を伺いました。
熊本県水産研究センターでは、どういう仕事をしているんですか?
熊本県の水産業の振興のため、魚介類の生態や養殖などの技術、海の漁場環境など、水産業にかかわるさまざまな分野を対象に試験・研究を総合的に行っています。
特に最近注目された研究が2つほどあります。一つはノリに関するものです。従来色落ちしたノリは捨てていたのですが、色落ちノリに含まれる糖質の一種であるグリセロールガラクトシドが、善玉菌であるビフィズス菌を増殖させることを発見し、特許を出願しました。もう一つはフグの養殖に関するもので、フグの寄生虫を駆除する薬を製薬会社と共同で開発したんです。この二つは、新聞やテレビのニュースなどでも報道されたので、ご存じの方もいらっしゃるかもしれません。
ところで、熊本の水産業にはどんな特徴があるんですか?
熊本県は養殖業がとても盛んで、県内漁業生産量の約4分の3が養殖で占められています。これは、天草の入り組んだ海岸など、地形的に養殖に適している場所が多いことなどによるものです。また、自然環境も多様性に富んでいます。干満の差が大きく日本有数の干潟を持つ有明海、外海に面した天草灘、静かな内海の八代海など。ですから、いろんな生き物が生息しているんです。
どんな研究をしているんですか?
 |
| ノリの試験養殖の様子 |
例えば、ノリなどの海藻は寒い方が生育には適しています。ところが今、地球温暖化により海水の温度が過去と比べて上昇傾向にあり、このため、秋にノリが採れなくなってきているんです。そこで、高水温に強いノリの品種を開発しています。現在試験的に出荷していますが、色落ちがなく、一枚当たり5円ぐらい高く取り引きされており、好評です。
このほか、最近有明海の湾の入口などで海藻が減ってきているんですが、その原因を調べているところです。また、赤潮が出やすくなっているという問題もあります。回数が増えているだけでなく、一番の問題は赤潮の質が近年変わってきていることなんです。従来はケイ藻類という植物プランクトンが原因だったんですが、今はラフィド藻類という、魚を殺してしまうような種類が出ています。海の環境が変わったせいでしょうか。
このように海を中心としたさまざまな問題を、私たち43人の職員(うち研究員17人)が中心となって研究しているんですが、その拠点となるのが当センターなのです。
誰でも見学できる施設があると聞いたのですが?
 |
| 水産研究センター |
研修センターという施設を併設していて、どなたでも利用いただけます。入場時間帯は午前9時から午後4時まで、もちろん無料です。海のパノラマトンネル、視聴覚コーナー、相談室、実験実習室があり、熊本県の水産業について楽しく学べます。ブリやタイに餌をやる体験コーナーが人気なんですよ。
年間2万人の来場者があります。遠足や社会見学などで、子どもたちをはじめ、外国からもたくさん来られます。夏はカニやエビに実際に触れることができるタッチングプールも開設して人気です。島原半島に面していて、雲仙の普賢岳(ふげんだけ)が見える展望台もありますよ。
天草に来られたときには、ぜひお立ち寄りください。そして、熊本県の海や水産業に興味を持っていただきたいと思います。
ありがとうございました。身近な食にかかわる水産業。これからもっと注目していきたいと思いました。今日はありがとうございました。
|