くまもと復興レポ MINNA-GENKI
#01 通潤酒造

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平成28年熊本地震から3年、創造的復興を目指して日々進化する姿をレポートするくまもと復興レポ「MINNA-GENKI」が始まります。
第1回は地震で全壊した熊本県最古の酒蔵を再興した「通潤酒造」
上益城山都町)の“今”をお届けします。

通潤酒造が創業したのは明和7年(1770年)。山都町の米と地下水、そして創業当時から変わることない伝統の工法を用いて、山都町ならではの酒を醸してきました。西南戦争の折りには、西郷隆盛が本陣を置き、奥の座敷で宿泊したという歴史が息づく酒蔵です。

熊本地震では、寛政4年(1792年)に築かれた「寛政蔵」をはじめ、10棟以上もの酒蔵が損壊し、4000リットル以上もの酒が失われました。しかし、幸いなことに蔵人全員の無事が確認され、5月11日には瓶詰めのラインを再開。「ちりん、ちりん」と瓶同士がぶつかり合う “復興の音”が、被災した蔵の中に響き渡りました。

Interview

山下さん写真

通潤酒造 12代蔵元
山下泰雄さん

復興の先に狙う地域経済の活性化

先祖伝来の蔵の多くが倒壊し、その後の大雨で麹室もやられました。救えるはずだった太いまでも失い、「全部だめになった」―そう思いました。しかし全国で待っていてくださるお客さまの声やSNSを介して広がっていく応援のメッセージが、再び立ち上がる力を与えてくれました。寛政蔵は元通りに再建するのではなく、酒の楽しみ方を発信する“観光酒蔵”として再生し、広域観光の拠点として地域経済の底上げにも寄与したいと考えました。例えば熊本市方面からの観光ルートを考えると、ビール工場見学から始まり、この酒蔵、五ヶ瀬のワイナリー、高千穂の焼酎蔵とつないで「飲んだくれ街道」にするなど、アイデアは尽きません。創造的復興の先に、新たな産業・雇用の形態をつくれたらいいですね。

(左)度重なる強い余震で倒壊した江戸期の蔵
(右)本震で壊れかけた瓶詰めレーンは、早期に復旧

通潤橋

通潤橋は山都町のシンボル

熊本地震による被災に加え、その後の豪雨で一部損壊してしまいました。現在も復旧工事は続いており、2020年3月ごろの放水再開を目指しています。通潤橋は山都町のシンボル。2018年9月に開催された「八朔祭」で製作された「ラグビーワールドカップ2019™」日本大会公式マスコットの「レンジー」も、通潤橋の復旧工事を見守っています。九州中央自動車道(嘉島~山都中島西間)も開通しましたので、ぜひ清和文楽幣立神宮などにも足を伸ばして、山都町観光を楽しんでいただきたいですね。

通潤橋の壁紙を配布中!

壁紙ダウンロード

復興POINT熊本県最古の酒蔵「寛政蔵」
2019年3月30日再興オープン!

周囲の蔵を取り壊して、寛政蔵を観光客向けにリノベーション。酒を醸す清らかな水がみなぎる池には、ニシキゴイが優雅に泳ぎ、風情たっぷりに目を楽しませてくれます。

通潤酒造のえり抜きの味を楽しめる「利き酒セット」2種のほか、山都町の特産「矢部茶」をたっぷりと使った香り高い甘酒などのメニューを用意。ここで楽しむのは、蔵元ならではのうまい酒と、それを堪能するゆったりとした時間です。

蛍丸写真

矢部を本拠地とした武将・阿蘇惟澄ゆかりの刀剣「蛍丸」の名を冠する純米吟醸酒は、“刀剣女子”など若い世代から支持を集めています。彼らのSNSやインターネットを介した拡散力が、復興を大きく後押ししたと語る山下さん。復興を支えるカタチも震災当時から進化し、今もさまざまなカタチで全国から新たな力が寄せられ続けているのです。

Data

通潤酒造

  • 熊本県上益城郡山都町浜町54
  • 電話番号:0967-72-1177
  • 営業時間:9:00~17:00
  • 休業日:第2・4日曜
通潤酒造外観
Official Website