くまもと復興レポ MINNA-GENKI
#04 GuestHouse426

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創造的復興を目指すくまもと復興レポ「MINNA-GENKI」の第4回は、平成28年の熊本地震の影響で昔ながらの街並みが変わりつつある熊本市新町古町 エリアで、町屋を生かしたゲストハウスをオープンした「GuestHouse426」の取り組みをご紹介します。

熊本駅と熊本城の間に広がる新町・古町エリア。ここは肥後熊本藩の初代藩主・加藤清正公が熊本城の築城と共につくった城下町です。築城当時から変わらない町割りの中に、西南戦争の戦火から復興した築100年以上の町屋が約400棟残り、昔ならではの街並みを今に伝えるエリアです。

しかし、平成28年の熊本地震で、多くの町屋が全壊・半壊の被害を受けてしまいました。今でもブルーシートに覆われた町屋が見受けられます。多くの町屋が解体されていく中で、昔ながらの街並みを保存するべく立ち上がったのが、古町で代々貸し倉庫業を営む「早川倉庫」の早川祐三さんです。残った町屋を「ゲストハウス」として生かす取り組みを始めました。

Interview

河津さん写真

合名会社 早川倉庫/GuestHouse426
早川祐三さん

趣ある街並みが消える事への焦り

私が「早川倉庫」という貸し倉庫を営んでいる「古町」と「新町」では、熊本地震の前から町屋と街並みの保存が大きな課題になっていました。そのため、2007年から地元のメンバーと「新町古町 町屋研究会」を立ち上げて町屋の保存と活用方法について模索していたんです。京都で町屋をリノベーションしたゲストハウスが人気を集めているという事例もあり、新町・古町にも生かせないかと検討していました。

そんなときに熊本地震で多くの町屋が被災してしまって…。壊れた町屋が撤去されて景観がみるみる変わっていくことに、とても焦りを感じました。中には手直しをすればまだまだ使える町屋もあったのですが、解体への補助金が出たこともあり、修復・維持管理で苦労するよりも解体に踏み切る家も多くありました。そんななか、古町に町屋を所有する私の親戚からも「解体しようと思う」と相談を受け、「何とか残したい!」と動くことにしたのです。

「町屋はまだまだ活用できる!」

親戚が所有するこの町屋は、私自身も子どもの頃よく出入りしていた思い入れの強い家なんです。屋根裏に残っていた棟札に「天保2年(1831年)」とあったので、築180年以上の歴史ある建物のようです。地震後に建物を見てみると、外壁が落下しそうになっていたり、瓦や柱がズレていたりと大きく傷んではいましたが、古民家の専門家に見てもらったら「十分直せる」とのことでした。そこで、ゲストハウスとして活用することを提案したら、任せてもらえることになって。外観の改修は町屋研究会のメンバーの工務店に、自分の手で修理できるところは仕事の合間に少しずつ直して、開業への準備をフルスピードで進めました。日々町屋が取り壊されていく新町・古町に向けて「町屋を残して上手く活用する方法もある」というメッセージをいち早く発信したかったんです。

屋内の柱や などのズレが起こったが、十分に直せるとのことだった

早川さんは日頃の仕事でも町屋などの修繕作業も行っているため修理はお手の物!

町屋の上からコンクリートを塗って補強している家が多いこの地域。地震でそのコンクリートがはがれかけた

復興POINT築188年の町屋をリノベーション
ゲストハウス「GuestHouse426」
2017年3月28日オープン!

昔ながらの町屋の趣を残したゲストハウスが、地震の翌年3月にオープンしました。町屋の番地「4-26」から、名前は「GuestHouse426」。過去にゲストハウスでアルバイトをした経験がある早川さんの奥さんが営んでいます。1棟貸切型で、暮らすように泊まれるのが魅力のお宿。もとの家の姿をなるべくそのまま残しながら、新町・古町の町屋から出た建材や家具雑貨なども随所にあしらっています。昭和レトロな雰囲気の居心地の良さがたまりません。

(左)地元で被災した古い洋館から譲ってもらったドアを、宿の入口に
(右)新町・古町の町屋から出てきた昭和レトロなアイテムを宿のインテリアに活用

宿泊空間は、以前の住人が残していったソファーなどの家具をそのまま活用している。
1階はリビングと風呂、洗濯機、キッチン、2階は寝室

ベッドと畳の部屋の布団を合わせて、最大5人まで泊まれます。日本家屋らしい雰囲気に人気が集まり、利用客の6〜7割が東アジアなど海外からのお客さんだそう。今や空室の日がほとんどないほどの人気を誇っています。

(左)昭和レトロな窓枠は近所の町屋から譲ってもらったもの
(右)懐かしいタイル貼りの風呂はそのままの雰囲気を残した

実は、「426」の奥にはあと2棟の町屋が連なっていて、今はこの建物もゲストハウスにすべく、早川さんがセルフリノベーション中です。土間空間の床にもこだわり、300枚以上もの木材を切り出して並べたというから、驚きです。

「古い町屋は、取り壊すと二度と取り戻せない歴史と佇まいを持っています。そんな“本物の町屋”が生み出す趣深い街並みを、何としても守り残していきたい」と早川さん。その情熱と、「GuestHouse426」の奏功 例が、新町・古町に新しい活気と大きな話題をもたらしています。

Data

GuestHouse426

  • 熊本県熊本市中央区細工町4-26
  • 電話番号:090-9403-2476
    ※予約受付時間9:00〜17:00
  • チェックイン:15:00(最終21:00)
  • チェックアウト:11:00
GuestHouse426宿泊予約ページ(Airbnb)