くまもと復興レポ MINNA-GENKI
#08 南阿蘇鉄道

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創造的復興を目指すくまもと復興レポ「MINNA-GENKI」の第8回は、南阿蘇鉄道。平成28年熊本地震によって線路などに大きな被害を受け、現在は一部区間での運行を余儀なくされています。そのような中、南阿蘇鉄道の現在の復旧の様子を見ることができる「南阿蘇鉄道 復興モニターツアー」が開催されました。今回はその様子をレポートします。

今回で7回目となる「南阿蘇鉄道 復興モニターツアー」。普段は入ることができない鉄道の線路内や復興工事、立野ダム工事現場を近くで見ることができるとあって、毎回満員になるツアーです。
今回は26名が参加。そのうち地元の南阿蘇村・高森町からの参加者は8名、それ以外は熊本県内や遠くは大阪や名古屋、仙台からの参加者も。もう何度も参加しているリピーターの方もいました。

ツアーのスタート地点は立野駅です。
運休区間にあるため、今は使われていないこの駅に、各地で乗り合わせた参加者が観光バスで到着します。

時間はお昼時、まずはお弁当タイム!いただくのは、地震前はトロッコ列車でしか食べることができなかった、名物の「南鉄とりめし弁当」です。
今はこのツアーでしかいただけない、貴重な復刻版のお弁当です。

「おいしいです!」とはにかむお二人は、熊本市内の高校生。

さて、お腹も満たされたところで、いよいよスタート!
ガイドをしてくれるのは、高森町地域おこし協力隊隊員でもある、南阿蘇鉄道の染田 麻弓子さんです。今回のツアーは工事現場をギリギリ近寄れるところまで見せてくれるので、鉄道を歩く際や工事現場での注意事項を入念に確認します。

まずは、立野駅構内から線路へと下り、レールウォークスタートです。今回は特別に線路を歩けますが、普段は運休区間といえども絶対に立ち入ってはいけない場所。ドキドキ感が高まります。

地震以来、列車が走っていない線路。保全されているとはいえ、線路の上や周辺に伸びしきる草花が、地震の影響の大きさを色濃く感じさせます…。

踏切を越え陸橋をくぐって進みます。

枕木が段になっているので、足元に気を付けながら進みます。「歩きにくかね〜」と笑いながら楽しげに進む清水さんは、高森町在住で、ご主人との参加です。

歩くこと400m、立野橋梁が目の前に見える踏切に到着しました。
この赤い橋梁を名物の観光列車・トロッコ列車が走る様子が、南阿蘇鉄道のシンボルの一つでしたが、その姿が復活するまでにはもう少し時間がかかりそうです。

線路の上から橋梁を撮影できる貴重な機会!

脇道にでて道路を下ると、立野橋梁の目の前。

すでに土台部分の強化工事が行われています。

そしてさらに、真下から見上げます。上から横から下から、橋を堪能!撮影するシャッター音がやみません。

橋を感慨深げに見上げる男性は、南阿蘇鉄道で長年運転士を勤めてきた内川 聖司さん。
間もなく定年退職を迎えるため、思い出づくりのためにプライベートで参加したそうです。さすがの内川さんも、線路の上を歩くのは初めての経験だったそう。

「すごい迫力!」

さて、お次は「立野ダム展望所」へと向かいます。こちらは、ダムの工事現場を眺めることができるという、全国でも珍しい展望所。全国からダムファンや建築ファンが訪れる場所です。こちらで、国土交通省の立野ダム工事事務所の方が、工事についての説明を行ってくれました。

ダムカードの配布や…。

自分だけのダムカードを撮影できる顔出しパネルを楽しめます。

次にバスで向かったのは、ダム工事現場内にある「たてのてらす」です。高台に迫り出した「てらす」から、工事現場を見下ろすことができます。こちらも普段は入ることができません。

1度に乗れるのは5人まで。「高い〜!」スリル満点です。

工事現場の全景がよく見えます。

さらにバスで移動し、着いたのは犀角山トンネル跡の工事現場です。このトンネルも地震で内部に亀裂が入るなど、大きな被害が出ました。復旧にあたって、このトンネルごと削ってしまう工事が行われています。ここにつながる第一白川橋梁も架け替えの工事が行われます。

列車の運休区間でも、駅にあるカフェなどのお店は元気に営業中です。
これらの駅カフェ、駅ごはんを目指して訪れる観光客も多くいます。そんな人気店の一つ、長陽駅にある「久永屋」が次の目的地です。

昭和2年(1927年)建築のレトロな駅舎の雰囲気をそのまま生かした「久永屋」は、ふんわりシフォンケーキが名物のお店です。線路とその奥に広がる田園、そして阿蘇五岳を眺めながら、しばし休憩。

久永屋のオーナーが、ウクレレ&歌の演奏で歓迎!

みんなそろって記念撮影!

さあ、いよいよこのツアーのクライマックス、トロッコ列車に乗るために中松駅に到着。

来ました!トロッコ列車!!!
例年、3月〜12月(今年は12月1日まで)の週末・祝日・長期休暇(ゴールデンウイークなど)に運行される観光列車です。地震前は立野駅〜高森駅を走っていましたが、今は運行区間である中松駅-高森駅間を走っています。

乗る前に記念撮影!カワイイ~!

さあ、出発です!!

車内は開放感たっぷり!右に左にと、パノラマの景色を思い切り楽しめます。

南阿蘇鉄道一のおしゃべりだという車掌さんがガイドをしてくれます。

あいにく少し曇り気味の天気でしたが、田園と阿蘇五岳の雄大な景色を一望できます。「気持ちよかね〜」

取材日はちょうどそばの花の時期。白い小花で埋まったそば畑もキレイ!

途中、清涼飲料水のCMにも使われた駅にも停車します。車掌さんが自ら、撮影位置に立ってガイドしてくれます。

あっという間に、高森駅に到着。ここでツアーは終了です!お疲れさまでした!

参加者の声

平田 光さん

県外から地域おこし協力隊として来ていて、高森町ケーブルテレビのリポーターをしているのですが、「そういえば、地震でどこがどう被災してしまったのかはっきりと見たことがない」と思い、今回のツアーに参加しました。
被災は想像よりもはるかに大規模で、完全な復興まではまだまだ時間がかかるのだと実感しました。
一方でトロッコ列車や駅カフェなど観光は元気で、復興途中の今しか見られない景色もあるんだと思いました。

中村さん 清水さん

私たちは熊本市内の高校で写真部に所属しています。地学の先生から習った、立野ダム周辺の「柱状節理」という地形に興味があったのと、トロッコ列車で写真を撮りたいと思い、このツアーに参加しました。
私(中村さん)は南阿蘇の中学校出身で、通学で南阿蘇鉄道を使っていたので、懐かしさと寂しさも少し感じました。線路を歩くのもトロッコ列車に乗るものはじめての経験。今だけの景色をたくさんカメラと記憶に留めました!

櫻井 浩志さん

宮城県仙台市から参加しました。私は小学校の教員なのですが、熊本地震後に派遣されて、熊本の被災地で数カ月間教えていました。当時の阿蘇にも行きましたが、地震直後は観光客の姿も全くなく、「人がいない阿蘇」しか知りませんでした。
今回、駅カフェやトロッコ列車など観光地としてのにぎわいを見ることができ、また鉄道やダムの工事現場が少しずつ進んでいるのも確認できて、良い機会になりました!

森高 司郎さん

今日は宮崎県からの参加です。締め切り直前にこのツアーのことを知り、ギリギリ滑り込みで参加することができました(笑)。復興に関わる仕事で熊本に度々来ているのですが、南阿蘇鉄道の現場を見たのは今日が初めて。
線路の上を歩いたり、立野橋梁を上から横から下からと見ることができ、公式に認められてこんな場所を歩けるなんて驚きです。復興の様子を間近に感じられて良かったです。

白仁田 順子さん

私は佐賀県から来ました。電車が好きなので、昔から好きだった南阿蘇鉄道の線路を歩けるのが楽しみだったのと、少しでも復興に貢献したいという思いで参加しました。今日はこのまま、南阿蘇村に泊まる予定です。実際に使われていない線路を歩いたり、工事現場を見ると、報道で見るよりもはるかに大規模な被災であることに驚きました。先日、佐賀県でも大規模な豪雨災害が起き、復興へと向かっているところです。実際にどう復興へと進んでいけるのか、どう支援すればいいか、その道筋を、南阿蘇鉄道の歩みを通して感じることができたように思います。

清水 鈴子さん

私は高森町在住で、今日は夫と一緒に参加したのですが、ツアー中に白仁田さんと意気投合しちゃって、彼女と一緒に行動していました(笑)。南阿蘇鉄道さん主催のイベントは昔から参加していて、今回は「たまにはしっかり歩いて体を動かさないと」と思って、レールウォークがあるこのイベントに参加しました。
線路を歩くと、若い頃にこの路線を使っていた頃のいろんな思い出が浮かんできましたね。全線開通が待ち遠しいです。

南阿蘇鉄道の全線開通は令和5年(2023年)の予定。あと3年半と決して短くはない道のりですが、一歩一歩、少しずつ復旧が進んでいる様子を確認することができました。これからも着実に進んでいく復興の様子にご注目ください。

Data

南阿蘇鉄道

南阿蘇鉄道では、復旧の様子を伝えるイベントやツアーを今後も開催します。詳しくは同社のWebサイトやSNSをぜひチェックしてみてください!

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