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Jump Up! Kumamoto 2017
正代直也「前に、前に、進む」
#03 熊本も私も、一歩ずつ前へ

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「Jump Up! Kumamoto 2017」スペシャル企画第二弾は、相撲界で若手注目株として知られる正代関の登場です。ふるさと・宇土市と熊本の魅力について語ってくれました。

正代 直也

1991年、宇土市生まれ。小学1年生の頃に相撲を始め、中学・高校の相撲部では全国レベルで活躍。東京農業大学に進学し、2年生の時には学生横綱に輝く。卒業後、時津風部屋に入門。初土俵から17場所で関脇に昇進(史上2位タイの速さ)するなど、その勢いが注目されている。

「あの日」。遠い土地から、故郷を心配するしかできなかった

 熊本地震が発生した2016年4月14日、私は群馬県で巡業中でした。夜、まだ外出先にいた時に、私が所属する時津風部屋のスタッフから電話で「熊本で大きな地震が起こったようだ」との連絡がありました。家族は、友人は、故郷の人々は大丈夫なのか?なかなか電話もつながらず、「これは大変な災害が起こった・・・!」と、テレビやネットのニュースで状況を確認することしかできませんでした。そして翌日の夜には本震が・・・。テレビで見た白煙を上げる熊本城、崩落した阿蘇大橋、そして大きく傷ついた宇土市役所。次々に飛び込んでくる見覚えのある場所の衝撃的な映像にショックを受けるばかりでした。翌日には家族の無事は確認できましたが、心配な気持ちは尽きません。それでも、目の前の巡業、そして本場所に一生懸命取り組むことしかできませんでした。

 ようやく宇土に帰ることができたのは、夏場所後の5月下旬のことです。激震地の被害の様子も、この時に初めて目の当たりにしました。家族や故郷の人々の無事な姿を見て安心はしましたが、みんなに疲れた雰囲気が漂っているのを感じ、ショックでしたね。それでも顔を出すと「正代関が帰ってきた!」と喜んでくれました。こんな時でも温かく迎えてくれる故郷の人々の姿が、逆に私の励みになりました。

宇土市では熊本地震により、一部の住宅やビルが被災。避難所では最大6,455人もの人が避難生活を送った。ピンク色の馬門石を使った石橋「船場橋」も被災し、現在も通行止めとなっている。

地震により、大きな被害を受け、取り壊しとなった宇土市役所。庁舎はすでに取り壊されており、現在は駐車場となっている。新庁舎の完成は2022年頃の予定。

後ろには引かない自分の相撲を、見てほしい

 その後は、地元の人に元気になってもらいたいと、なるべく時間があるときには帰省するようにしました。昨年8月の「うと地蔵まつり」の際は、巡業のスケジュールを空けてもらい、ステージ出演のために帰省しました。九州場所後の冬巡業の際は、横綱をはじめ力士総出で県内を慰問。帰るたびに少しずつ復興が進んでいき、みんなの表情が明るくなっていくのを感じていました。

 2016年11月の九州場所では、いつも以上の大歓声で迎えていただき、私の方が励まされました。その場所で図らずも好成績を上げることができ、次の場所では新関脇に昇進。自分の取組が故郷の励みになると考えるのはおこがましいかもしれませんが、目の前の一番、一番にただ集中し、全力で自分にできることを頑張った結果、良い成績を残せて本当に良かったと思います。自分の取組をいつも故郷の人が見てくれている、そのことだけは常に意識しています。

 私の相撲の信条は「前へ前へ進む、決して後ろに引かない」ことです。例え負けても、前に出て負けるのと引いて負けるのでは、全く意味が違います。前へとひたすらに進む自分の相撲を、熊本の人にも見守ってほしいです。厳しい勝負の世界、勝つことも負けることもあると思います。それでも、前だけに進む私の“真っ向勝負”を通して、熊本の皆さんも元気になって前向きな気持ちで復興に臨んでいただけたら、これ以上の励みはありません。

 そして、もうひとつ加えるなら、これからも大相撲全体をもっともっと楽しんで、応援していただけるとうれしいです。次なる熊本の郷土力士の登場も、心待ちにしています。

身近にある素材を使い、地元住民が手作りする「造り物」は「うと地蔵まつり」の人気企画の一つ。昨年のお祭りでは正代関をモチーフにした造り物も制作された。

地震後、正代関は避難所を訪問したり、お祭りに参加したり、募金活動をしたりと、大好きな地元のため、何か自分にできることはないかと奔走した。