くまモンの熊本弁のたび
#05 高浜焼 寿芳窯
[天草市]

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知られざるくまもとの魅力を探して、県内各地をくまモンがぶらり旅。今回は、全国の陶石の約8割を占めるという「天草陶石」の採掘と、その陶石を使った磁器を作る「高浜焼 寿芳窯」に行ってきたモン★

熊本の海の観光地、天草。天草下島の南西部に向かって車を走らせると、天草西海岸エリアにたどり着きます。昔から天草陶石が採掘されてきたことから、陶磁器が盛んなエリアとしても知られています。その中でも、江戸時代から天草町で陶石の採掘と磁器の製造を行っているのが「高浜焼 寿芳窯」です。

Profile

高浜焼 寿芳窯

高浜村(現・天草町高浜)の庄屋でもあった上田家は、江戸時代の享保13年(1728年)頃より天草陶石の採掘を行っていました。さらに宝暦12年(1762年)に、六代目・上田伝五右衛門が陶工・山道喜右衛門肥前長与から招き、村民に窯業を習得させ、高浜・皿山に開窯したのが「高浜焼」の始まりです。村民数百人の生業として時代の色合いを宿した磁器を作り続けましたが、明治時代中期に一度断絶。その後、昭和27年(1952年)に復興し、現在に至るまで天草陶石の採掘、および高浜焼の製造を行っています。

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「高浜焼 寿芳窯」の展示場にお邪魔しました。棚には、真っ白でうっとりするほど滑らかな美しい磁器がいっぱい!これまで窯を訪問した有名人のサインも白磁に藍で書かれているのが印象的です。

「くまモンシリーズ」の磁器を手に出迎えてくれたのが、工場長の古田寿昭さんです。天草市で生まれ育ち、高浜焼を持つ「上田陶石」に勤め始めて35年のキャリアの持ち主です。

この展示場と工場は、昭和63年(1988年)に建てられたものです。ここでは、陶石の採掘・製土から焼物の生産まで一貫して行うことができる設備が整っています。

天草陶石は元禄時代に発見されたといわれ、かの平賀源内も「天下無双の上品」と賞賛している記録が残っています。天草陶石の魅力は、砕きやすく形成しやすい点、そして粘土を混ぜずに焼き上げられるので、そのままで美しい白磁に仕上がる点です。現在は国内の陶石生産量の約8割を天草産が占めています。白磁で有名な有田焼や伊万里焼(佐賀県)、波佐見焼(長崎県)、清水焼(京都府)などにも使われているんですよ。

陶石は鉄分の含有量が少ないほど上質とされ、特等から4等までの5等級に選別されるのですが、これは最も上質な「特等」の陶石です。鉄分が少ないので、石自体も真っ白でしょう。この石から、あの滑らかな白磁が焼き上げられるんです。

展示場の隣にある工場へ伺いました。現在は5人の職人さんが所属し、ろくろや石膏型による成形や焼成、絵付けなどを行っています。1つ1つ手作業で行われていて、伝統的な技を生かしながら、現代のデザインを多く取り入れています。

焼成は素焼きと本焼きの2回行います。こちらは本焼き用の窯。1,300度のガス火で16〜17時間かけて焼き上げます。

ところで、天草は全国有数の白磁の生産地でありながら、村民の生業として作られていたという歴史から、他の焼物生産地ほどブランド化されていませんでした。

純度の高い良質な天草の陶石を使用し、技術・技法を現代に受け継いできた天草白磁は、平成15年(2003年)、天草磁器とともに、「天草陶磁器」として国の伝統的工芸品の指定を受けました。それにより、広く知られるようになり、高い評価をいただくようになりました。そこでさらにこの「天草陶石」と天草の白磁の魅力を世界に発信するべく、天草町・苓北町の9つの窯元からなる「天草陶石研究開発推進協議会」の活動として、平成27年(2015年)に天草陶磁器のブランド「Amacusa(アマクサ)」をつくりました。
現在は、アーティスト・古門圭一郎さんのプロデュースで作られたシリーズ〈Amacusa MUSO〉が展開されています。天草らしいクルスをモチーフにしたデザインです。

国指定 伝統的工芸品とは

経済産業大臣が指定する伝統的工芸品のことで、「伝統工芸品産業の振興に関する法律」で次のように規定されています。

  1. 主として日常生活の用に供されるものであること。
  2. その製造過程の主要部分が手工業的であること。
  3. 伝統的な技術又は技法により製造されるものであること。
  4. 伝統的に使用されてきた原材料が主たる原材料として用いられ、
    製造されるものであること。
  5. 一定の地域において少なくない数の者がその製造を行い、
    又はその製造に従事しているものであること。

こちらは、高浜焼で制作しているエッジ皿「クルス・モノグラム」です。このシリーズには上質な天草陶石のみを使い、食卓になじむスタイリッシュなデザインに仕上がっています。他にも、花器、カップなどが作られています。

2017年には「ザ・コンランショップ」とコラボレーションした「Amacusaキャンドルホルダー」も全国で販売されたんですよ!

Data

「高浜焼」で好評いただいているのが、この「海松紋」シリーズです。海藻を模した模様なのですが、実は江戸時代に描かれていた柄の復刻なのです。200年も前の図柄なのに、現代にあっても違和感のないモダンなデザインですね。

若手の入部愛美さんによる上絵付けのシリーズや、お土産に人気の「くまモンシリーズ」、ユニバーサルデザインのアイテムなど、現代の食卓をより豊かに彩る磁器の制作にも取り組んでいます。和洋中問わず料理に似合うので、SNSでお皿に料理をかわいく盛り付けた写真をハッシュタグ付きで上げたり、若い方のリピーターのお客さんも多いそうです。常時開催している「絵付け体験」も人気イベントなのだそう。

天草のホテル・レストランの食器やオリーブオイルの容器にも採用いただくなど、地元からも天草白磁を発信していただいています。この魅力を全国へ、世界へともっと広めていきたいですね。
そういえば、うちには高浜焼の歴史を伝える資料館もあるんだけれど…。

くまモン!「じゃかじゃか」資料館はこっちばい。

熊本弁クイズ!

「じゃかじゃか」の
意味はどっち?

正しいと思う方を押そう!

不正解…
大正解!

続きはモン題に答えてから!

敷地内には上田家の庄屋時代の建物が昔のまま残っていて、風情ある雰囲気にファンも多いんですよ。秋は、密かな紅葉の名所でもあります。また、隣の「上田資料館」では、上田家に豊富に残っていた陶業に関する資料を展示しています。復刻版「海松紋」の原本も展示してあるので、ぜひ見てください(入館料:高校生以上300円、中学生100円、小学生以下無料)。

Data

高浜焼 寿芳窯(上田陶石合資会社)

  • 熊本県天草市天草町高浜南598
  • 電話番号:0969-42-1115
  • 営業時間:8:00~17:00(平日) ※土日祝8:30~
  • 休館日:年末年始(12月31日~1月3日)、
    お盆(8月14~15日)
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「高浜焼 寿芳窯」から車で10分ほど走れば、2018年にユネスコ世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産の1つとして登録された「﨑津集落」に着きます。せっかくの天草ドライブ、ぜひ一緒に足を運んでみましょう!

Data

天草市﨑津集落ガイダンスセンター

  • 熊本県天草市河浦町﨑津1117-10
  • 電話番号:0969-78-6000
  • 営業時間:9:00~17:30

Check!

秋の天草は
陶磁器イベントが
いっぱい!

9月以降、天草市・苓北町エリアでは陶磁器にまつわるイベントが目白押しです。ドライブが気持ちのいい季節に、ぜひお出掛けしてみませんか?

第19回 あまくさ丼丼(どんどん)フェア

9月1日(日)~11月30日(土)

天草の新鮮な海鮮や、天草大王・黒毛和牛などの山の幸を、地元の陶芸家達が丹精込めて焼き上げた器でいただくフェア。全34店舗・43種類の自慢の丼を楽しめます。

問い合わせ:0969-22-2243(天草宝島観光協会)

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シルバーウィーク6窯元巡り

前期9月14日(土)〜16日(祝・月)
後期9月21日(土)〜23日(祝・月)

6軒の窯元による合同窯元めぐり。天草大陶磁器展に向けて制作した新作がいち早く展示販売されます。

問い合わせ:0969-23-9522(丸尾焼)

天草西海岸秋の窯元めぐり

10月11日(金)〜15日(火)

苓北町及び天草市天草町の8窯元が合同で開催。通常価格より割引販売されるほか、絵付け体験や手びねり皿の作陶体験も!

問い合わせ:0969-35-1111(苓北町役場商工観光課)

天草西海岸秋の窯元めぐり

第16回 天草大陶磁器展

11月1日(金)〜5日(火)9:30~17:00
※3日は20:00まで時間延長、5日は16:00まで

熊本県下最大級の陶磁器展示即売会。例年、九州各地の若手から伝統的窯元までが一堂に会します。

会場:天草市民センター(特設会場、展示ホール、大会議室ほか)熊本県天草市東町3

問い合わせ:0969-23-1111(天草市役所 産業政策課)

天草窯元めぐり

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